新アルバムをリリース予定です。
以下で販売予定です。
https://booth.pm/ja/items/2802210
人と天使の物語
大昔、それはもはや言葉で表現するには足りないほど原初の話。
古来、人は神や天使のすぐそばで暮らしている。
しかし人が神の意思を直接確かめることは出来ないが、少なくとも人の生活に頻繁にちょっかいをかけてくる天使を許すほどには人、神、天使の存在は互いに近い。
ある日、天使は一つのことを思い実行した。
かつて人は雷鳴と闇夜に怯え、風雨と飢えに苦しんだ。
だが火と道具を得た人は様々な困難を乗り越え、生きることに余裕が出てきた。
そんな人らに喜びを与えたい、音を与えたらどうだろう。
天使は木の枝で様々な物を叩いて音を鳴らしてみせた。
その音は歪で華麗とは決して言えない不細工な音だ。
「さぁ人の子らもやってみるのだ」
人は天使が叩くのに使っていた木の枝を奪い取ると様々な物を叩き始める。
「私の木の枝が特別なのではなく、どこにある木の枝でも出来るんだよ」
すると人は様々な木の枝で次々と叩いて音を鳴らし始めた。
そしてある者は自らの手で胸を叩き、腹を叩いて音を鳴らした。
「おお、自らを音とするか人の子らよ」
天使は驚嘆の声をあげて、喜び音を奏でる人の姿を見続けた。
それは最も神と天使と人が平和な時代だった。