ノヴァ管理機構 Log000-22 共感恐怖

人類が発せられる感情に対して、それが対象者が自身か他者かであるかを問わず
強い感情表現に対して激しく反応する人類個体は存在します。

強い感情表現に自身の感情が誘引される為、自己防衛本能から感情に対して忌避します。
その感情とは激怒や憎悪だけではなく、強い愛情や信仰も含まれます。

共感恐怖は自身の感情が他者に飲み込まれることへの恐怖から、感情との距離を取ろうとします。
これによって自身の感情を保ち、感情の起伏を避けることで自我を保つことが至上命題となっています。

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国家 C-LH1-LogPre3_OpenM1

アルバトロン委員長代理

本件調査のため、本日、政府参考人として国務省政策統括官小見川ソリダ君、内務省危機統合政策局政策審議官カネルネミディア君、内務省自治局公共政策部長瀬區別リンガ君、
技術科学省大臣付政策審議官泉銀シモン君、労働省政策審議官スロッギアオリバー君、労働省緊急援護局保健福祉部ベルツミシャ君、人類資源管理局ガス電力統括部長歯衣ケンブレー君及び遠地行政統合管理局インフラ政策部長天羅勝香夢見君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

<異議なし>

アルバトロン委員長代理

御異議なしと認め、そのように決しました。

アルバトロン委員長代理

特別質疑の申出がありますので、順次これを許します。穿利ルーデン君。

穿利委員

穿利ルーデンでございます。
特別質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。
先日のラングリッサ防衛計画において、人類の勇士達に哀悼を捧げたいと思います。黙祷。

<沈黙>

質問に入ります。
現在の人類災害において喫緊の問題となる食料輸送計画は第三次段階まで進捗していると政府公表がありました。
しかしながら現地メディア報道によりますと末端食糧支援が行き届いていない、また不法コミュニティによる食料価格の釣り上げや犯罪組織の収益に間接加担している現状があります。
政府としてこれにどのように対応しているのか、現在の取組状況についてお伺いをしたいというふうに思います。

アルバトロン委員長代理

内務省危機統合政策局政策審議官カネルネミディア君

カネルネ政府参考人

お答え申し上げます。
今御指摘のとおり、第三次段階食料輸送計画についての進捗はあくまでも食料支援の開始を意味するものであり、
末端食料支援計画の進捗とは別個の報告となります。これについては統合食料支援計画の定例委員会にて報告させて頂いております。

今回の計画の際しましては、応急対策を行う被災した区域への迅速かつ相当規模の担当者派遣ということは必要不可欠となってまいります。
これについては人員派遣システムと言う物を用い、前進補給戦略と言う物を確立した上で補給ライン維持を確保、構築いたしました。

このシステムは被災者管理、保健対応、衛生食料、上下水道、電気対応業務の支援などを行うためにその作業員及び管理監督者の派遣をするシステムであり、一体化された統合支援状況を生産いたします。
第二次段階食料輸送計画からこのシステムの提供は開始され、述べ2万4754名の人員派遣をいたしました。
また地域区域管理者に対して助言等と行う罹災マネジメントアドバイザも80名派遣しております。
この経験を踏まえまして、第三次段階食料輸送計画からは個人ではくチーム単位での派遣を行うチーム派遣制度及び支援活動を統括する統括支援本部制度も構築するなどシステム充実を図りました。
今後とも、このシステムの円滑な運用に努めてまいりたいと考えております。

不法コミュニティに関しては先述の罹災マネジメントアドバイザが対応、現在83件報告中76件が解決したと報告を受けております。
犯罪組織の活動に関しましても現在通報のあった177件中170件で既に検挙、被害回復が行われており順次治安は回復されている認識です。

穿利委員

ありがとうございます。
諸外国事例も参考にしつつ、多くの制度を同時かつ並行的に処理しなければいけないと考えており、ぜひ取り組んで頂きたいと考えております。

現在、二次災害及び災害関連死が増加していると言う報道があります。
トイレ、ベッド、キッチンこのような部分も含めて戦争難民よりも酷い状況と言われる現在の状況の一日も早い回復と復興に向けて尽力していただきたいと考えております。

続きまして、こちら皆様のお手元に配布いたしましたのは市中心部で活動されていました行政職員アマミツの証言が記載された内容であります。
非常に大きな災害の中で、それぞれの持ち場持ち場で初動対応、行政対策、物資、給水、避難所運営、住宅、震災廃棄物、従来業務、ご家庭、お子様達に関わるそれぞれ職員の自分たちの経験をもとに数字を交えて報告を書いているものでございます。

共有をするというところの、そのときそのときで状況と言うのは変化するのはあって当たり前と言うのは前提認識の上で、共通部分と言うのも非常に多く存在すると考えており、他地域においても似たような記録が作られていると聞き及んでおり、被災者救済経験は失敗事例も含めまして、今後の発生するであろう災害においてどのように生かしていくかが非常に重要と考えます。

経験則でしか補えないと言う部分も多分にはございますが、いかに多くの人にこの経験を共有するかと言う部分において、国としてどのように取り組んでおられますでしょうか。

カネルネ政府参考人

お答え申し上げます。
ご指摘のとおり、災害を経験した地域のノウハウを他の地域災害対応に生かすことが大変重要であるというふうに考えております。
政府といたしましても、毎年、災害対応庁との共催により、全国の地域を対象とした防災危機管理トップセミナーを開催させていただいておりまして、
四七年度には、被災地域であるアーベント市長を講師として招き、約三百人の首長さんに講義を聞いていただいたところでございます。

今年度は、二箇所の地域から二人の首長を招きまして、それぞれの経験に基づく災害対応について御講義いただくことを予定しております。
今後とも、被災地域におけます災害対応等の経験を他の地域防災対応に生かしていく取組を推進してまいります。

穿利委員

ありがとうございます。

<– 旧世界 国家公記録より –>

茨のお城とお姫様

とある国の茨のお城にお姫様が住んでいました。
お姫様には三人の忠実な騎士がいました。
1人は体力が屈強な男、1人は精神が屈強な男、1人は体力も精神も屈強な男でした。

お城は北の北の、一番北の寒い地域にありました。
お姫様も騎士もいつも簡素な食事をしていましたが、今年は特に種類も彩りも無い食事でした。

お城の大地は寂しく、痩せていて、ほとんど食べ物が取れません。
私達は陽と熱を大地に当てることで再生を試みましたが、それは出来ませんでした。
私達の城の近くまで、夜になると野盗が襲ってくるので、大地を育てる余裕が無かったのです。

解放都市ナタールへ第二次復興団が到着した時、私達は救済活動をしていました。
病気予防の観点からまず大地浄化作戦を担当しました。

第一次大地浄化作戦 では総量640,000kgの熱力弾が投下されました。
効果評価では事前評価の 1,220,450wLP / Cx に対して質量計測評価ベースが 1,105,300wLP / Cx、熱量観測評価ベースが 1,302,805wLP / Cx となり、目的完遂と考えられます。

本作戦の実務評価基準はAA、投資評価基準はA-、政策評価基準は A+、会計評価基準は B-となります。

お城は年々と寒さに凍えるようになりました。
そこへ精神が屈強な騎士が姫に進言しました。
「私が野盗を退治しに行きましょう。この城と土地に未来を与えるのは私の使命です」

「しかし、野盗は非常に恐ろしい武器を持っていると聞きます。大丈夫なのですか?」
お姫様は精神が屈強な騎士に尋ねました。
「必ずしも大丈夫とは言えないでしょう、しかしやらねばなりません。もちろん全く計画が無いわけではありません、それは非常に練られに練られた計画です」
精神が屈強な騎士の瞳はとても力強く、 自信たっぷりとした返事でした。
お姫様はすっかり安心して答えます。
「あなたの忠誠心と名誉は永遠の物でしょう。頼みました」

リゾート施設オムニ・リュグレッサを復興司令として再建し、私達はここを活動拠点としました。
復興司令は約1760人が常駐する巨大行政機関です。
私達は復興動員令に基づく復興要員約26万4000人をここから指揮しました。
同時に幾つかの新技術も実験目的で投入することとなりました。

私達が社会基盤整備能力を取り戻しつつある時、広範囲に渡って適正環境再生が確認されました。
それはどれだけ強い希望と喜びだったでしょうか。

環境整備戦力の投入は予定通りです。

精神が屈強な騎士が旅を出てからしばらく時間が経ち、お姫様は日々不安になってきました。
「かの者は大丈夫なのでしょうか」
体力が屈強な騎士が応えます。
「かの者の忠誠心を疑う者など一人もおりません。しかしながらかの者も人の身、どこかで傷ついて癒やしておるかもしれません」
「傷だと」
お姫様が慌てて椅子から立ち上がると、体力な屈強な騎士は頭を垂れます。
「どうか私めに、かの者を助力する許可を下さい。必ずや生きて帰りましょう」

お姫様は不安に思っていましたが、しかし騎士達は常に勇敢でその魂が清らかであるのは事実なのです。
騎士達の想いを無碍にすることなど、誰ができるのでしょうか?
「分かりました。あなたにぜひ頼みましょう」

理念型遺伝子回路”オーシェ”に率いられた人工機械化部隊は復興活動に多大な恩恵を与えました。
土壌を改良し、空気を浄化し、自然豊かで人々が住めるよう街を整備しました。

私達は無機物と有機物の素晴らしき混合、配合の先に人類の生存領域を見出すことが出来たのです。
これをこそ私達は彼の地を新大陸と呼ぶ大きな理由です。

私達は火器を用いて草花を見事蘇生させました。
この奇跡は未来永劫語られることでしょう。

茨のお城にはお姫様と体力も精神も屈強な 一人の騎士が残されました。
騎士は言いました。
「先に出かけた二人が気がかりです、かといって城を出てはここは無防備になってしまう。
私はここから離れるつもりはないですが、二人の行き先だけが気になるのです」

お姫様は考えに考え、こう切り出しました。
「では二人で一緒に探しに行きましょう、それならばみんな見つかるでしょう」

こうして茨のお城は無人のお城となりました。
そのお城の広間には素敵な素敵なお花だけが残されていたのです。

< スキョルの終幕劇 第七章より >

私達は残された全てにおいて、この可能性と未来に富んだ大地を再開、再現、復興せねばならないと信じています。ありがとう。

<– 復興活動第二報告書より –>